「あかり」早わかり ~Q&A~


ASTRO-F って何?

ASTRO-F(アストロ・エフ)は、赤外線で宇宙(うちゅう)観測(かんそく)する人工衛星(じんこうえいせい)です。JAXA(じゃくさ)宇宙科学研究所(うちゅうかがくけんきゅうしょ)を中心として開発され、2006年2月にM-Vロケットを使って打ち上げられました。打ち上げ後、ASTRO-F衛星は「あかり」という名前が付けられました。

赤外線(せきがいせん)って何?何が分かるの?

赤外線は目に見えない光で、(にじ)の赤い色のさらに外側にあります。

(にじ)に色があるように、赤外線にもいろいろな種類があります。虹の赤に近い方から、近赤外線(きんせきがいせん)中間赤外線(ちゅうかんせきがいせん)遠赤外線(えんせきがいせん)()びます。適当(てきとう)な赤外線を選んで宇宙(うちゅう)(なが)めると、宇宙にある(ちり)の雲を()かして、その向こうにある星や銀河(ぎんが)が見えたり、また冷たい(ちり)の雲(温度が-200℃以下!)そのものが見えてきたりします。

赤外線によって、目に見える光(可視光(かしこう))では見えなかった宇宙(うちゅう)姿(すがた)観測(かんそく)し、星や銀河(ぎんが)誕生(たんじょう)や、進化、最期などの(なぞ)を調べることが出来ます。

Rainbow
人間の目で見る(にじ)は七色だが、目に見えないところにも光が来ている。赤い部分の外側が「赤外線」の部分。
The Milky Way at various wavelength
いろいろな波長(はちょう)の光で見た天の川(写真 NASA)。可視光(かしこう)で見ると(ちり)の雲で星が(かく)され、黒い帯が見える(下)。近赤外線(きんせきがいせん)でみると、雲を()かして後ろにある星が見えてくる(中)。遠赤外線(えんせきがいせん)でみると、星は見えなくなり、代わりに(ちり)そのものが光って見える(上)。
「あかり」って、どういう衛星(えいせい)なの?

「あかり」は、全長 3.7 m、重さ約 950 kg (打ち上げ時) の衛星(えいせい)です。赤外線で宇宙(うちゅう)観測(かんそく)するため、口径 68.5 cmの望遠鏡(ぼうえんきょう)と、赤外線を観測(かんそく)する2つの装置(そうち)(そな)えられていました。

宇宙(うちゅう)彼方(かなた)から来る、かすかな赤外線を観測(かんそく)するため、「あかり」の望遠鏡(ぼうえんきょう)観測装置(かんそくそうち)は約 -270℃ にまで冷やされていました。

ASTRO-F
仮組立(かりくみたて)された「あかり」。上の銀色の(つつ)の中に望遠鏡(ぼうえんきょう)観測装置(かんそくそうち)が入っていて、-270 ℃くらいまで冷やされました。下の金色に見えている部分は、衛星(えいせい)全体をコントロールする装置です。
Instruments
「あかり」の観測装置。FIS は遠赤外線用、IRC は近・中間赤外線用です。
Telescope
「あかり」の口径68.5 cmの望遠鏡。赤外線を良く反射するように、鏡の表面は金でメッキされていました。
なんで宇宙(うちゅう)に行ったの?

赤外線のほとんどは、地球の大気が邪魔(じゃま)をして、地上からは直接(ちょくせつ)観測(かんそく)することが出来ません。「あかり」は、宇宙(うちゅう)に行かなければ見えない赤外線を、(くわ)しく調べるために人工衛星(じんこうえいせい)になりました。

Wavelength of electro-magnetic wave and Observations
「あかり」は、何をしたの?
IRAS all-sky map
1983年にアメリカ、オランダ、イギリスが合同で打ち上げたIRAS(アイラス)衛星(えいせい)は、赤外線でみた宇宙(うちゅう)の地図を作りました。「あかり」は同じような観測(かんそく)を、さらに(くわ)しく行い、さらに遠い宇宙まで調べました。

「あかり」は、全天をまんべんなく赤外線で観測(かんそく)して、赤外線を出している天体のカタログをつくりました。このカタログは、世界中の天文学者(てんもんがくしゃ)に公開されて、天文学の研究に使われています。

この他にも、「あかり」は、とくに選ばれた空の一部や天体に望遠鏡(ぼうえんきょう)を向けて、それらを(くわ)しく観測(かんそく)することも行いました。

「あかり」で、何を調べたの?

「あかり」が作った赤外線天体(せきがいせんてんたい)のカタログには、100万個を超える数の天体が(ふく)まれています。このカタログを使って、星や銀河(ぎんが)がどうやって生まれ、成長したかを(くわ)しく調べることができます。この他にも、「あかり」の観測(かんそく)データは、世界中の天文学者(てんもんがくしゃ)によって、様々な研究に使われています。

天文学者からのリクエストによって、とくに詳しく調べられた天体は、宇宙(うちゅう)彼方(かなた)にある生まれて間もない銀河(ぎんが)、お(となり)の銀河、生まれかけの星、惑星(わくせい)を作っている最中(さいちゅう)と考えられている星、死につつある星、小惑星(しょうわくせい)、などいろいろです。

「あかり」は(だれ)が作ったの?
Testing the satellite

ASTRO-F 計画は、JAXA(じゃくさ)宇宙科学研究所(うちゅうかがくけんきゅうしょ)が中心となって、国内の多くの大学や研究所(けんきゅうしょ)にいる人たち、さらに、ヨーロッパや韓国(かんこく)の大学や研究所の人たちと一緒(いっしょ)に進められました。また、衛星(えいせい)観測装置(かんそくそうち)製作(せいさく)には、たくさんの会社が参加していました。


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