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「あかり」全天サーベイ赤外線天体カタログ初版が完成

「あかり」全天サーベイの成果として、赤外線天体のカタログ(住所録)の初版が完成しました。このカタログは、これまで天文学者に広く使われてきた IRAS-アイラス-(下記注参照)カタログに対し 3 倍近い数の天体の情報を含み、今後の天文学研究を導いていく基礎資料になると期待されています。


「あかり」赤外線天体カタログは、約70万天体の 9, 18 マイクロメートルのデータからなる中間赤外線カタログと、約 64,000 天体の 65, 90, 140, 160 マイクロメートルの 4 波長の情報を含む遠赤外線カタログの二つのパートからなります。いずれも IRAS カタログに比べて、対応する波長帯での有効なデータ数で、約 3 倍の規模になります。

カタログにリストされた天体を、天球図上にプロットしたものを図 1 (遠赤外線 90 マイクロメートル)、図 2(中間赤外線 9 マイクロメートル)に示します。中程で真横に明るく延びているのが天の川です。画面中央が我々の銀河系の中心の方向です。遠赤外線のデータでは、星が現在活発に生まれていて、赤外線天体が密集している領域が明瞭に見えています。また、星生成活動が盛んな遠方の銀河も多く検出されています。一方、中間赤外線では、銀河系内の成熟した星の分布が、天の川に沿ってより太い帯となって見えています。これらのカタログをもとに、初期科学的解析が進められています。並行して内容の評価・改良作業が進められ、一年後に世界中の天文学者に公開される予定です。

Fig.1

図 1: 「あかり」遠赤外線全天サーベイの波長 90 マイクロメートルで検出された、約 64,000 個の赤外線天体を天球上にプロットしたもの。各点の色は、赤から白になるほど、その天体が明るいことを示す。横に明るく拡がっているのは天の川で、中央が銀河系中心の方向。星が現在活発に生まれていて、赤外線天体が密集している領域が明瞭に見えている。天の川から外れてまばらに散らばる天体のほとんどは、星生成が活発な遠方の銀河である。

Fig.2

図 2: 「あかり」中間赤外線全天サーベイの波長 9 マイクロメートルで検出された、約 70 万個の赤外線天体を天球上にプロットしたもの。各点の色は、青から白になるほど、その天体が明るいことを示す。銀河系内の成熟した星の分布が、天の川に沿って遠赤外線の結果に比べ、より太い帯となって見えている。

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