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あかり(ASTRO-F)衛星 > 観測成果

観測成果

「あかり」が捉えた星間有機物の進化 (2014年3月20日)

赤外線天文衛星「あかり」のデータから、我々の銀河系内に広く豊富に分布し、生命の起原物質の一つとしても注目されている、多環芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる有機物分子について、その大きさを推定する手がかりや、周囲の環境に応じて「変成」を受け、構造が変わっていく様子が明らかになりました。東京大学大学院理学系研究科博士課程に在学中の森(伊藤)珠実さん(日本学術振興会特別研究員)を中心とする研究グループによって行われたこの研究の成果は、アメリカの天体物理学の専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」の2014年3月20日号に掲載されました。(詳細)

Fig.
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何もない空(そら)を光らせるもの:「あかり」が空の赤外線成分の分離に成功 (2013年12月27日)

星や銀河の間の「何もない空(そら)」は、一見漆黒の闇のように見えますが、実はかすかに光っています。JAXA宇宙科学研究所の津村耕司(つむらこうじ)研究員を中心とする研究チームは、赤外線天文衛星「あかり」に搭載された近・中間赤外線カメラ(IRC)によって得られた膨大な観測データのアーカイブの中から、星や銀河を含まない分光観測データを抽出して解析し、このような「何もない空」からの赤外線を、「太陽系内のダスト(固体微粒子)からの赤外線」、「銀河系内のダストからの赤外線」、「遠方の宇宙からの赤外線」の3種類の成分に分離することに初めて成功しました。これは、近赤外線の分光観測において広がった放射の強度を正確に求めることができる「あかり」ならではの成果です。さらに研究チームは、分離した各成分の赤外線スペクトルを詳しく解析し、太陽系・銀河系・遠方宇宙それぞれの赤外線放射について、次のような新たな科学成果を得ました:(1)惑星間空間には1マイクロメートル以下の小さなダストが普遍的に存在することを高い精度で確認。(2)銀河系内のダストからの赤外線を初めて分離し、その中に含まれる有機物の分子が広く分布していることを確認。(3)遠方の宇宙から由来が分からない赤外線が届いていることを高い精度で確認。これらの研究成果は、2013年12月25日発行の日本天文学会欧文研究報告誌(PASJ)に、3編の論文として発表されました。(詳細)

Fig.
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「あかり」による大マゼラン雲の赤外線天体カタログ、世界へ向けて公開 (2013年1月7日)

JAXA宇宙科学研究所は、赤外線天文衛星「あかり」の観測から作成した、大マゼラン雲の赤外線天体のカタログを全世界に向けて公開しました。今回公開されたものは、5種類の赤外線波長で観測した、総計660286個の赤外線天体を含む点光源カタログと、そのうちの1757天体について、より詳しく分光観測を行ったスペクトルカタログの2種類です。点光源カタログは大マゼラン雲のカタログとして最大規模であり、またスペクトルカタログは世界で初めてのデータです。我々の銀河系から16万光年の距離にあるお隣の銀河、大マゼラン雲は、生まれたばかりの星や、進化した星の研究が盛んに行われており、「あかり」の新しい2つのカタログは、大マゼラン雲中の天体を正確に分類し、これらの研究を大きく推進させることが期待されています。関連する2本の学術論文が、アメリカの専門誌 『アストロノミカルジャーナル』2012年12月号および2013年2月号に掲載されます。(詳細)

Fig. 「あかり」近・中間赤外線カメラによる大マゼラン雲サーベイ領域全体の画像
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「あかり」超新星残骸に一酸化炭素を検出 (2012年2月8日)

秋から冬の夜空にWを描くカシオペア座の中にあるカシオペア座Aは、我々の銀河系でもっとも最近(約330年前)に起きた超新星爆発の残骸と考えられています。地球から約1万1千光年のところにあるこの天体は、3千万度という非常に温度の高いガスに満たされていることがX線の観測で知られていました。今回「あかり」はこのカシオペア座A超新星残骸に多量の一酸化炭素のガスが存在することを発見しました。(詳細)

Fig. 超新星残骸カシオペア座A
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「あかり」が捉えた宇宙最初の星の光 (2011年10月21日)

赤外線天文衛星「あかり」が波長1〜4マイクロメートルで空の明るさを観測し、既知の天体では説明できない大きな明るさのむら(揺らぎ)があることを見いだしました。これはビッグバンから約3億年後に宇宙で最初に生まれた星(第一世代の星)の集団に起因するものと考えられ、これまでほとんど知られていなかった宇宙初期における星生成活動の解明に重要な貢献をなすものと考えられています。この結果は11月1日発行のアメリカの学術雑誌 The Astrophysical Journal に掲載される予定です。(詳細)

Fig.2 「あかり」が観測した北黄極方向の空の明るさのむら(揺らぎ)の最終結果。
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星空の砂金採り 〜 「あかり」による世界最大の小惑星カタログ (2011年10月13日)

赤外線天文衛星「あかり」全天サーベイ観測の膨大なデータから、砂金採りのように小惑星の存在のわずかな形跡を1つ1つ探し出し、小惑星カタログが作られました。このカタログには小惑星5120個が掲載されており、小惑星の大きさを収録したものとしては世界最大のものです。日本の天文衛星によって世界中の研究者が参照するデータベースを提供するという意義は大きく、小惑星の詳細な研究が国内外でさらに発展することが期待されます。(詳細)

Fig 「あかり」が検出した5120個の小惑星の、2007年8月26日時点における太陽系内の分布。太陽、地球、火星、木星の位置と公転軌道も描かれている。小惑星の大きさと表面の反射率によって点の大きさと色を分けて描いてある。
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「あかり」宇宙からの謎の遠赤外線放射を検出!(2011年8月10日)

赤外線天文衛星「あかり」が、銀河系の外側の宇宙の明るさ(宇宙背景放射)を観測した結果、謎の遠赤外線放射を検出しました。

銀河系外の宇宙は、宇宙の果てまでの膨大な数の銀河の光が合わさって、ぼんやりと光っているはずです。遠赤外線では、これが宇宙背景放射のすべてと考えられていました。ところが、「あかり」が観測した宇宙背景放射は、銀河の光を合わせた明るさの最新の予想値よりも、2倍も明るいものでした。観測データを詳細に分析したところ、宇宙初期に作られたブラックホールからの放射など、未知の放射で照らされている可能性が出てきました。この観測結果は、宇宙初期の天体形成や銀河進化の研究に重要な手がかりとなるかもしれません。

この研究は、松浦周二・宇宙科学研究所・助教を中心とする国際研究チームにより行なわれました。観測成果は、米国のアストロフィジカル・ジャーナル誌の2011年8月10日号に掲載されます。(詳細)

Fig.1 「あかり」によるADF-S領域の遠赤外線画像(波長90マイクロメートル)。白っぽい多数の輝点は個々の銀河であり、それらの背後には、より遠方の天体からなる宇宙背景放射が存在している。
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「あかり」が描き出す赤色巨星の塵の衣 (2011年3月25日)

赤外線天文衛星「あかり」が、赤色巨星を取り巻く塵(ダスト)の衣を、これまでにない精度で観測した結果が、欧米の天体物理学の専門誌に相次いで発表されました。この塵の衣は、太陽のような星の終末の姿である赤色巨星が、自らの物質を放出して作ったもので、その中には、星の内部で作られた炭素などの元素が含まれています。「あかり」は、地上からは観測できない遠赤外線や、世界で初めての中間赤外線による観測を可能にし、星からの塵やガスの放出が、いつどのように行われたかを克明に描き出しました。今回の一連の研究は、我々の体や身の回りのものに含まれる炭素などが、どのような仕組みで供給されてきたのかを知るための、重要な手がかりとなっています。(詳細)

Fig.1 「あかり」搭載の遠赤外線サーベイヤー (FIS) による、うみへび座U星のまわりに広がる絶対温度45度(マイナス228℃)前後の冷たい塵の衣(ダストシェル)の様子
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赤外線・X線で探る超新星残骸での宇宙塵生成:火の玉から誕生する生命の素 (2011年1月14日)

赤外線天文衛星「あかり」とX線天文衛星「すざく」による「(通称)ティコの超新星残骸」の観測は、超新星の爆風と星間物質が衝突する様子を明らかにするとともに、核融合暴走型(Ia型)超新星残骸から放出された物質中で塵(固体微粒子)が生成されている可能性を世界で初めて示しました。惑星の原料ともなる塵が、超新星爆発に伴ってどのように作られ、また壊されるのかは、いまだに全容がわかっておらず、非常に貴重なデータです。

この研究は、石原大助研究員ら名古屋大学の研究グループを中心に行われ、欧州の学術雑誌アストロノミー&アストロフィジックス2010年10月号に発表されました。(詳細)

Fig.1 ティコの超新星残骸の多波長合成画像
X線がとらえた膨張する高温プラズマの球(青く表示)のまわりに、暖かい塵が放射する赤外線(赤く表示)が見えている。緑は電波で観測された星間分子雲の分布。名古屋大学/JAXA提供。
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新世代の赤外線天体カタログ、日本から世界に公開へ (2010年3月30日)

Fig.1

赤外線天文衛星「あかり」が観測した約130万天体にも及ぶ赤外線で輝く天体の情報を集めた「赤外線天体カタログ」が、本日、世界の研究者に向けて公開されました。これは今後の天文学の進展に大きく寄与する日本発のデータベースとなります。

このような赤外線天体カタログは、20年以上前にIRAS(アイラス)衛星 によって初めて作られ、これまで広く天文学者に使われ続けてきました。今回公開された「あかり」のカタログは、全天の96%以上をカバーし、近・中間赤外線カメラ(IRC)によって検出された約 87万天体のカタログと遠赤外線サーベイヤー(FIS)が観測した約43万天体のカタログから構成されています。天体総数は約130万となり、IRASのものに比べて5倍もの大規模なカタログとなります。またIRASに比べてより高い解像度、より高い感度、より広い波長域の情報が含まれています。(詳細)



「あかり」赤外線天体カタログに基づく初期成果

1. 赤外線天体カタログによる研究の第一歩、星と銀河の見分け方
Fig.1

ポーランドのポッロ、リプカと名古屋大学の竹内は、「あかり」の遠赤外線データだけから分類する方法を発見しました。ポッロらはこれまでの観測でその正体が知られている数千個の天体の遠赤外線での「色」を調べました。天文学で言う「色」とは、波長の短い光と長い光での明るさの比です。波長が短い光が相対的に明るいと「青い」と言い、その逆は「赤い」と言います。「あかり」の全天サーベイは遠赤外線だけでもIRASよりも多い4つの波長で行われたので、いろいろな波長の組み合わせで天体の「色」を調べることが可能です。(詳細)



2. 赤外線でしか見えない隠された星形成
Fig.2

名古屋大学の竹内らは「あかり」遠赤外線全天サーベイデータと紫外線、可視光および近赤外線での銀河サーベイを組み合わせて、現在の宇宙にある多数の銀河の星形成活動を調査しました。(詳細)



3.「あかり」によって解き明かされる宇宙の星形成史
Fig.3

ハワイ大学の後藤らはより星形成活動を見積もるのに重要な長い波長まで(9?160マイクロメートル)を網羅する「あかり」の全天サーベイデータを利用することにより、より正確に、星形成に起因する赤外線が宇宙の単位体積当たりどれくらい放射されているか(全赤外線密度)を見積り、これから宇宙の単位体積当たりどれくらいの割合で星が生まれているか(星形成密度)を求めました。その結果は、100万パーセク(約300万光年)立方あたりで、1年に太陽0.015個の割合(言い換えると60?70年に太陽1個の割合)で星が生まれているというものでした。(詳細)



4.「あかり」が探る惑星誕生の現場
Fig.4

東京大学の藤原らは、「あかり」の中間赤外線全天サーベイデータから、地球のような惑星に成長しつつある天体同士の衝突により生じたと考えられる塵を持つ恒星を複数発見しました。今回見つかった恒星の塵の温度は、これまで「こと座」のヴェガ(織女星)などの周りに発見されていた塵より高くて地球の温度に近く、地球に似た惑星の存在と強く関連するものと考えられます。これらの恒星は、まさに「過去の太陽系」の姿を見ていると考えられます。(詳細)




<資料>
詳細資料 (高解像図など)
発表文PDF

外部リンク:JAXA プレスリリース

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「あかり(ASTRO-F)」の成果について (2008年11月19日)

「あかり」の最新の成果をお届けします。全天を遠赤外線と中間赤外線でくまなく観測したデータから、赤外線で輝く天体のカタログ(住所録)の初版が完成しました。また、特定の天体を詳細に観測したデータの解析が進み、その科学的成果の一部が、本年12月に日本天文学会欧文報告雑誌の「あかり特集号2」として刊行される予定です。今回はその中から、年老いた星や超新星と、宇宙空間に漂うガスや塵(星間物質)との間で起きる様々な興味深い営みに関する、三つの研究成果について報告します。

1.「あかり」全天サーベイ赤外線天体カタログ初版が完成
Fig.1

「あかり」全天サーベイの成果として、赤外線天体のカタログ(住所録)の初版が完成しました。このカタログは、これまで天文学者に広く使われてきた IRAS(アイラス)カタログに対し 3 倍近い数の天体の情報を含み、今後の天文学研究を導いていく基礎資料になると期待されています。(詳細)



2.宇宙の大河を渡る超巨星
− 「あかり」が解き明かす赤色超巨星の星風~星間物質境界の衝撃波 −
Fig.1

宇宙を流れる星間物質の大河を、オリオン座の一等星ベテルギウスが横切って突き進む様を、赤外線天文衛星「あかり」がこれまでにない高い解像度で捉えました。この観測により、星から吹き出すガスが星間ガスと激しく衝突し、混じり合う様子が詳しくわかりました。(詳細)


3.消えた宇宙塵(うちゅうじん)の謎
− 「あかり」による球状星団に漂う冷たいダスト(塵)の探査 −
Fig

赤外線天文衛星「あかり」による高感度の遠赤外線観測によって、年老いた星の集団である球状星団の、星と星の間が「空っぽ」であることが確かめられました。年老いた星が放出するダスト(塵)によって満たされているはずの星間空間が、なぜ空っぽなのか。ダストはどこへどのように消えていったのか?この結果は、星間空間でのダストの進化や球状星団の進化に大きな謎を投げかけています。(詳細)



4.「あかり」が探る大マゼラン星雲の超新星残骸
− 「あかり」のデータで初めて見つかったダスト(塵)の成分 −
Fig.1

「あかり」に搭載された近・中間赤外線カメラ(IRC)が、大マゼラン星雲中に存在する超新星残骸を捉えました。「あかり」が世界で初めて観測した波長のデータも含めた解析から、超新星残骸中のダスト(塵)に、これまで知られていなかった新しい成分があることがわかりました。このことは、これまで考えられていたよりも多くのダストが、超新星爆発の衝撃で壊されずに生き残ることを示唆しています。(詳細)




<資料>
詳細資料 (発表文PDF、高解像図など)

外部リンク:ISAS/JAXA トピックス

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「あかり」が見た近傍銀河の星生成領域と宇宙の果て (2007年9月5日)

1.星生成が内より外で活発:風変わりな渦巻銀河M101

M101 銀河は、おおぐま座に位置する渦巻銀河です。地球からの距離がおよそ2400 万光年で、直径が17万光年と、我々の銀河系のほぼ2 倍もある巨大な銀河です。回転花火のように広がった渦巻腕には、高温の若い星々が数多く存在し、中でも、銀河外縁部の渦巻腕には巨大な星生成領域が点在しています。こうした特徴をもつM101銀河の内部で、どのように星生成活動が起こっているのか調べるために、「あかり」衛星に搭載されたFISの4 つの波長帯(65、90、140、160マイクロメートル)で高解像度の観測を行いました。この観測データをから、星生成領域に存在する若い高温の星で暖められた塵(暖かい塵)と、太陽のような普通の星で暖められた塵(冷たい塵)の空間分布を、初めてきれいに示すことができました。(詳細)

Fig.2-1

2.遠赤外線で宇宙の果てに迫る

現代天文学の最重要テーマとして、銀河がどのように進化して現在の姿になったのか、という問題があります。その研究には、銀河の昔の姿をとらえる、つまり、より遠方の銀河を捕らえる究極の観測が必要です。我々は、これまで特に情報が乏しかった遠赤外線の波長において、「あかり」の極限性能を駆使した過去最大規模の観測を行い、宇宙の果てに微かに光る数多くの銀河の検出に成功しました。(詳細)

Fig.3-1


<資料>
記者発表資料1 (PDF 1.32MB)
記者発表資料2 (PDF 1.76MB)

外部リンク:ISAS/JAXA トピックス

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小惑星探査機「はやぶさ」が旅立った後の小惑星イトカワの観測に成功!!(2007年8月22日)

小惑星探査機「はやぶさ」は、今年の4月下旬に地球に向けて小惑星イトカワから旅立ちました。それから約3ヶ月後の2007年7月26日、その小惑星イトカワを赤外線天文衛星「あかり」が撮影する事に成功しました。図1は、「あかり」の観測装置の1つ、近・中間赤外線カメラによる、波長7マイクロメートルでとらえたイトカワです。わずか12分間ほどの観測中に、小惑星イトカワが画面の中を移動しているのが分かります。これを動画にしたのが動画1です。これは波長7マイクロメートルと11マイクロメートルの画像を時間順に並べて、動画にしたものです。

小惑星イトカワ 図1. 「あかり」搭載の近・中間赤外線カメラによる、波長7マイクロメートルで撮影したイトカワの画像。観測は日本時間2007年7月26日の20時23分から20時35分(世界時で11時23分から11時35分)にかけて行われました。この間に撮影した画像の中から3枚を選び出して重ね合わせ、イトカワの動きを示しています。画像に示した範囲は約7.4分角×7.4分角です。

「あかり」が観測した時、小惑星イトカワはさそり座の方向にあり、可視光での明るさは約19等級でした。また、地球からイトカワまでの距離は約0.28天文単位(1天文単位は約1億5000万kmなので、4,200万kmにあたる)で、ちょうど地球に一番近づいてる時期の観測でした。このために、「あかり」の短い観測中でも小惑星イトカワが大きく移動している様子がはっきりと分かります。なお、「あかり」と同じ口径の地上の望遠鏡では、同じ撮影時間でこのようにくっきりと撮影する事は困難です。「あかり」による高感度赤外線観測の威力が良く分かります(注1)。

「はやぶさ」は、あかりが観測した時には地球から約4,070万kmの距離にあり、地球帰還に向け、順調に航行を続けています。今後、図2にある軌道にそって、地球は約3周、「はやぶさ」は約2周太陽の周りを回った後、2010年6月に「はやぶさ」は地球に帰還する予定です。2007年8月22日現在は、地球から約5,000万kmの距離にあります。

イトカワ軌道図 図2. 観測時の地球とイトカワの位置関係を慣性座標系(黄道座標系)で示します。地球、火星、イトカワ、「はやぶさ」は矢印の向きに公転しています。地球は約3周、「はやぶさ」は約2周太陽の周りを回った後、2010年6月に「はやぶさは」地球に帰還する予定です。
「はやぶさ」が探査した後に「あかり」が小惑星イトカワを観測する意味があるのでしょうか?一般に、小惑星を研究する上で、大きさというのは重要な情報です。イトカワは「はやぶさ」が直接正確な形状まで測定しましたが、探査機が行かない場合には、望遠鏡による観測などから様々な方法で推定します。実は「はやぶさ」が小惑星イトカワを探査する前にも、我々は地上の望遠鏡を使って観測を行い、そのおおよその大きさを求めました。いくつかの異なる方法から予測された大きさのうち、実際の小惑星イトカワの大きさに一番近かったのは、今回の「あかり」による観測と同じ、中間赤外線の観測データから求めた大きさでした。今回の「あかり」は、地上観測ではデータを取得できない部分も含む複数の赤外線波長帯で、小惑星イトカワをあらためて精度良く観測しました。この観測データは、イトカワをはじめとする小惑星の性質を詳しく調べ、また小惑星の大きさを推定する精度を更に向上させるために、大変貴重な情報だといえます(注2)。

「あかり」は今後の小惑星探査ミッションの候補天体になるであろう複数の天体の観測を行っています。小惑星イトカワの時と同様に、候補天体についての詳細な情報が得られる事が期待されます。

本観測は、「あかり」太陽系天体観測チームによる小惑星研究プログラムの一貫として、JAXA月惑星探査推進グループおよび宇宙科学研究本部の長谷川直氏を中心とする研究グループによって行われました。

(注1) 小惑星イトカワに届いた太陽光は、そのほとんどが表面で吸収され、小惑星を暖めるのに使われます。反射されるのはごく一部の光なので、可視光での観測では暗く見えます。一方、暖まったイトカワは、赤外線を放射するので、「あかり」による観測では明るくはっきりと見えるのです。

(注2) 小惑星の温度は、太陽から受ける光エネルギーと、小惑星から放出される赤外線放射エネルギーのバランスで決まります。小惑星の形や回転、表面の状態などを考慮して、小惑星の温度分布を詳しく計算する「小惑星熱モデル」の作成が進められています。「あかり」などによる中間赤外線観測は、小惑星から放出される赤外線をとらえているので、熱モデルで計算した温度から、放射される赤外線の量を見積もり、観測と比べることによって、小惑星の大きさなどの情報を知ることが出来ます。逆に、イトカワのように、実際の大きさや形状、表面の状態が精密に分かっている小惑星について、観測と計算値を比較することで、熱モデルをより精密に改良することが出来ます。
「あかり」による観測では、今回示した以外の波長でも観測を行なっており、さらに詳しい解析が可能になります。例えば、小惑星の表面の状態がどのように赤外線の放射特性に関係するのか、また逆に赤外線観測からどのように精度良く表面の状態を推測するかについて理解を深めることができます。イトカワの観測データは、特に地球のそばを通過する小さな小惑星のモデルを改良し、その信頼性をさらに向上させるのに役立つと考えられます。このことは、例えば将来地球に衝突する可能性のある小惑星が見つかった際に、その大きさをあらかじめ速やかに、正確に推測することを可能にします。

<資料>
・図1の [高解像度画像] および [書き込み無しの画像]
はやぶさによるイトカワの画像

外部リンク:報道発表 (ISAS/JAXA トピックス)

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観測開始から1年、「あかり」が見た宇宙 (2007年7月11日)

我々の銀河系は渦を巻く円盤のような形をしています。銀河系の中には、可視光線で光っている星の他にも、マイナス200℃以下にもなる冷たいガスや塵がたくさん含まれています。ガスや塵の分布にはむらがあって、濃くなったところには重力でますます集中し、やがてその中心に星が生まれます。

赤外線は、可視光では見えない冷たい物質からも放たれています。赤外線で空を観測する事で、目には見えないガスや塵の雲が、銀河系の中でどのように分布しているかが分かります。星が盛んに生まれている場所では、星の光が周囲の塵を暖め、より強い赤外線を放つようになります。赤外線で宇宙を観測する事で、活発に星が生まれているところを調べる事ができます。

1.波長9ミクロンでみた宇宙の姿

波長9ミクロンでみた宇宙の姿
 図1. 波長9ミクロンでみた宇宙の姿

「あかり」は、全天を赤外線で観測しています。この図は波長9ミクロンでみた宇宙の姿です。中心から帯状に左右に拡がる明るい部分は、銀河系の円盤部分をその中にいる地球から真横に見たものです。画面中心付近の明るくなっている部分が、我々の銀河系の中心の方向にあたります。この方向では、塵だけでなく、年老いた赤く・明るい星(赤色巨星)が密集していて、特に明るく見えています。帯の中、あるいはそれから連なる部分には、盛んに星が生まれている領域があります。それらは、生まれたての星で暖められた塵が強い赤外線を放ち、明るく輝いて見えます。なお、この画像では、太陽系内の塵からの赤外線放射の成分を大まかに取り除いてあります。

図1の各領域説明図
図2. 図1の各領域説明
(この画像は、株式会社アストロアーツのステラナビゲータを使用して名古屋市科学館が作成しました。)

図2には図1と同じ絵の上に著名な天体や、赤外線で明るく輝く、活発に星が生まれている領域を示しています。これらの絵は、我々の銀河系の中のどの場所で、どれくらい活発に星が生まれつつあるかを一目瞭然に示してくれます。この絵の元となった観測データを詳細に解析する事で、それぞれの星生成領域の物理的状況をより詳しく調べる事ができます。

画面右下に「大マゼラン雲」と示されている天体があります。大マゼラン雲は、我々の銀河系のすぐ隣にある小さい銀河で、銀河全体で活発な星生成活動が起きています。このことは、この銀河がやはり赤外線で明るく輝いている事ことからも分かります。この絵には見えていなませんが、宇宙の中には非常に活発に星を作りつつある銀河がたくさんあります。「あかり」はそのような銀河も拾い出して、宇宙の歴史を探る研究を行っています。

2.オリオン座周辺の波長140ミクロン赤外線画像

オリオン座周辺の波長140ミクロン赤外線画像
 図3. オリオン座周辺の波長140ミクロン赤外線画像

オリオン座を含む 30°×40°の領域の140ミクロンでの赤外線画像。これほど広い領域を一望するイメージを作成できるのは、全天サーベイ観測を行った「あかり」ならではのことです。100 ミクロンを越える波長で、このような広い領域の詳細な観測を行う事は、今後まずあり得ないでしょう。

画像の右半分がオリオン座、左側はいっかくじゅう座。銀河面は、画面左側を上下に走っています。画面全体が赤く光っているのは、銀河系内の星間空間に漂う冷たい塵が放つ赤外線を観測しているからです。

オリオン座の下側にひときわ明るく輝く天体はオリオン大星雲です。ここでは、大量の星が生まれ続けており、それによって暖められた塵が強い赤外線を放っています。また、三つ星の左側の明るい天体は、馬頭星雲を含む領域で、可視光では暗黒星雲として見える冷たい塵の雲も、赤外線では輝いて見えることが分かります。左側中心付近に見える拡がった明るい星雲は「バラ星雲」で、ここでも新しい星が生まれつつあります。それ以外にも、たくさんの星生領域が輝いて見えます。オリオンの頭に当たるところを中心に大きく拡がった円上に見えるのは、かつてその中心部でたくさんの重たい星が作られ、それが次々に超新星爆発を起こして周囲のガスや塵を吹き飛ばして出来た「殻」です。

オリオン大星雲は太陽から約1500光年の位置にあり、またバラ星雲までは約3600光年です。

3.「はくちょう座-X領域」の赤外線画像

「はくちょう座-X領域」の赤外線画像
 図4. 「はくちょう座-X領域」の赤外線画像

「はくちょう座-X領域」と呼ばれる領域の「あかり」による赤外線イメージ。(7.6°×10.0°) の範囲を表示しています。この領域は、銀河系の渦状腕の内、太陽系が属する"オリオン腕"を腕の伸びる方向に透かしてみており、太陽系から 3000〜10000光年程度の範囲にある天体が、見掛け上狭い範囲に集まって見えています。画像の左上から右下にかけて、銀河面が横切っており、Cygnas-X領域はその上に重なって見えています。

画像の中に見える数多くの明るく輝いている天体は、質量の大きい星が生まれている場所です。生まれたての星からの光が、周囲のガスを電離し、塵を暖めて赤外線で明るく輝かせています。このように質量の大きい星が誕生する場が密集してみえる領域は、全天でも多くありません。この画像をよく見ると、大きく空洞になったような暗い部分が見えます。これは、成長した高温の星の集団が、強い光により周囲のガスと塵を吹き払ってしまったものです。


<資料>
・枠なし画像ファイル 波長9ミクロン全天画像, オリオン領域画像, はくちょう座-X領域画像

外部リンク:報道発表 (ISAS/JAXA トピックス)

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「あかり」が見た星生成領域、終末期の星、超新星残骸、活動銀河核、遠方銀河 (2007年3月26日)

−赤外線天文衛星「あかり」による観測結果、日本天文学会で発表 −

昨年2月に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星「あかり」は、現在も順調に観測を続けています。今回、「あかり」の観測から得られた初めての科学的成果が、日本天文学会春季年会で発表されることになりました。その中から、銀河系内での物質進化のそれぞれの過程を研究した、星生成連鎖、超新星残骸、及び赤色巨星からの質量放出の観測と、遠くの銀河での中心にあるブラックホールをとりまく星間物質の研究、生まれたばかりの銀河を赤外線で探して銀河の進化を調べた研究など、5件の研究内容について紹介します。今回は、「あかり」に搭載された観測装置の一つ、近・中間赤外線カメラ (IRC) によって得られた成果を中心に紹介します。

1.「あかり」の広域観測が明らかにした星形成の系譜
― こぎつね座IC4954/4955星雲領域の3世代にわたる星形成 ―

「あかり」は、3世代にわたる星形成の証拠を赤外線で初めて捉え、我々の銀河系でどのようにして星が生まれているかを知る手がかりを得ました。(詳細)

2.初めて赤外線でとらえた小マゼラン雲の超新星残骸
― 小マゼラン雲中の超新星残骸の赤外線での検出 ―

3マイクロメートルから11マイクロメートルの赤外線で、初めて小マゼラン雲の中の超新星残骸を検出し、超新星残骸と周囲の星間物質との相互作用を明らかにしました。(詳細)
(この研究成果は4月の韓国天文学会で発表されるものです)

3.「あかり」がとらえた円熟期の星の姿
― 球状星団NGC104の中の若い赤色巨星からの質量放出現象の発見 ―

「あかり」による波長3マイクロメートルから24マイクロメートルでの観測により、比較的若い赤色巨星から、これまで検出されていなかった質量放出が起きている証拠を見つけました。この結果は、円熟期から終末期に向かう星の進化に新しい知見を与えます。(詳細)

4.赤外線でせまる巨大ブラックホールを持つ活動銀河核のまわりの分子ガス
― 超高光度赤外線銀河UGC05101の活動銀河核のまわりの分子ガスの検出 ―

「あかり」は、活動銀河核と呼ばれる巨大ブラックホールを、さまざまな温度の分子ガスが取り囲んでいる証拠を見つけ、活動銀河核の構造を解き明かす重要なデータを得ました。(詳細)

5.「あかり」宇宙で活発に星が作られた時代を確認
― 波長15マイクロメートルの深宇宙探査 ―

「あかり」に搭載された近・中間赤外線カメラ(IRC)により、広い空の領域にわたり、15マイクロメートルで現在最も暗い銀河までの観測を行い、多くの銀河を検出しました。この結果は、宇宙では、約60億年以上前から数十億年にわたり現在より星が盛んに生まれていた時代があったことを示すものと考えられます。(詳細)

こぎつね座IC4954/4955星雲領域 超新星残骸B0104-72.3

外部リンク:報道発表 (ISAS/JAXA トピックス)

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銀河の生い立ちに迫る - 大マゼラン星雲の赤外線画像 - (2006年11月1日)

−「あかり」第一回目の全天観測完了間近 −

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の赤外線天文衛星「あかり」は、全天にわたる宇宙の赤外線地図作成のための観測を続けています。今年5月に本観測を開始してからほぼ半年が過ぎ、11月初旬には第一回目の全天観測を終えようとしています。月に邪魔される等の理由で観測できなかった天域がありますが、11月初旬の時点で、ほぼ計画通り全天の約70%についてデータ収集を完了する見込みです。

この観測の中で「あかり」は、銀河の生い立ちを調べる上で重要な観測対象である「大マゼラン星雲」の多彩な姿を、赤外線の多くの波長帯で高分解能で捉えることに成功しました。

1.大マゼラン星雲の遠赤外線画像

大マゼラン星雲の遠赤外線画像
 図1. 「あかり」による大マゼラン星雲の遠赤外線画像
    (観測波長60μm、90μm、及び140μm の画像から疑似カラー合成したもの)

「あかり」は、大マゼラン星雲全体にわたる非常に活発な星形成活動「スターバースト現象」を捉えた鮮明な遠赤外線画像の取得に成功しました。(図1参照)

この画像は、星間ガスの雲に含まれる固体微粒子(塵)が新たに生まれた恒星の光で暖められ赤外線で明るく輝いている様子を示しています。このような全銀河規模の活発な星形成活動はスターバースト現象と呼ばれ、大マゼラン星雲に限らず多くの銀河の成長過程で起きると考えられています。また、円盤状に広がるガスや塵に対して、恒星はこの画面下方に紡錘状に集まっており、ガス・塵の分布と恒星の分布の中心は、お互いにずれていることが分かります。大マゼラン星雲では、私たちの銀河系の重力が引き金になって、このような分布のずれが引き起こされていると考えられています。

「あかり」により全天観測された画像は、IRAS衛星による画像に比べ、より細かい構造まで鮮明に捉えられており、スターバースト現象が起きている場所やその状況を、より詳しく知ることが可能です。これにより銀河の生い立ちで重要な役割を果たしたスターバースト現象の解明に迫ることができます。

2.大マゼラン星雲の近・中間赤外線画像

大マゼラン星雲の一部の近・中間赤外線画像
 図2. 「あかり」による大マゼラン星雲の一部の近・中間赤外線画像

「あかり」は、大マゼラン星雲の一部の近・中間赤外線による精密観測に成功しました。(図2参照)。この画像では、ガスや塵に加え、年老いた恒星が数多く捉えられています。

「あかり」によるこれらのデータを用いて、恒星を構成していたガスがその生涯の末期に吹き出して星間空間に還され、それが再び次世代の恒星の原料となる、星の世界の輪廻を追うことが可能です。

この画像もIRAS衛星に比べて、はるかに数多くの星を検出できる「あかり」ならではの成果です。

大マゼラン星雲の可視光画像と「あかり」の観測範囲

図3. 大マゼラン星雲の可視光画像(撮影:神谷元則氏)と「あかり」の観測範囲

左図では比較のために遠赤外線画像(図1)の範囲(赤色枠)、と近・中間赤外線画像(図2)の範囲(緑色枠)を示してあります。「あかり」の遠赤外線画像(図1)では、画面(この図では赤枠部分)全体にガスや塵が広 がっていたのに対し、恒星の集団は画面の下半分に集中しており、両者の分布は明らかに異なっています。


<資料>
・大マゼラン星雲画像 枠なしバージョン 遠赤外線画像, 近・中間赤外線画像

外部リンク:報道発表文(JAXAプレスリリース)

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「あかり」がとらえた星の誕生と死 (2006年8月28日)

1.星の誕生

ケフェウス座の散光星雲IC1396の赤外線画像
 図1. 「あかり」によるケフェウス座の散光星雲IC1396の赤外線画像
    (観測波長9μmと18μmの画像から疑似カラー合成したもの)

図1は、「あかり」の近・中間赤外線カメラ(IRC)によるケフェウス座の散光星雲IC1396の赤外線画像です。 IC1396は我々の太陽系から3000光年弱の距離にあり、太陽の数十倍の質量を持つ重い星が生まれている領域です。ここでは画像中央付近で生まれた大質量の星が周囲の星間ガスを吹き払っています。周囲に掃き寄せられ圧縮された星間ガスからは、それをきっかけに次の世代の星が誕生するという星形成の連鎖が起きています。「あかり」は、掃き寄せられた星間ガスの分布や、そこで星が生まれつつある様子を、世界で初めてこの星雲全体にわたって鮮明にとらえました。「あかり」の画像にはこれまで詳しく観測されていない若い星も多く含まれ、この領域における星形成の全体像が明らかになると期待されます。

2.星の死

赤色巨星うみへび座U星の赤外線画像
 図2. 「あかり」による赤色巨星うみへび座U星の赤外線画像 (観測波長は90μm)

図2は、うみへび座U星の遠赤外線画像です。この星は太陽から約500光年の距離にある赤色巨星で、「あかり」の観測装置である遠赤外線サーベイヤ(FIS)が、その周りに拡がる塵の雲の観測に成功しました。

赤色巨星うみへび座U星の想像図

図3. 表面からガスを吹き出す赤色巨星(想像図)

太陽と同程度の質量の星は、その生涯の最後に大きく膨れあがって赤色巨星と呼ばれる星となり、表面からは星を構成していたガスが宇宙空間に吹き出します。赤色巨星から吹き出すガスの中では塵が作られ、ガスと一緒に拡がっていきます。「あかり」は、これまでにない高い解像度でうみへび座U星を観測し、そのまわりを約0.3光年離れて取り囲む塵の雲をとらえました。これはこの星が約1万年前の一時期、現在よりもずっと激しくガスを吹き出したことを示しています。星の終末期を知る上で重要な成果です。


参考資料(PDFファイル 326KB)
・赤外線画像 枠なしバージョン IC1396, うみへび座U星

外部リンク:報道発表文(JAXAプレスリリース)

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「あかり」の観測開始と初期観測結果について (2006年5月22日)

− 従来の赤外線観測衛星よりはるかに高い解像度での観測に成功 −

反射星雲IC4954 の遠赤外線画像
図.反射星雲IC4954 の遠赤外線画像

反射星雲IC4954 の中間赤外線画像
図.反射星雲IC4954 の中間赤外線画像

あかりと従来の赤外線観測衛星IRAS(注)で撮影した画像との比較 − 解像度の大幅な向上を達成 −

「あかり」の2つの観測装置、遠赤外線サーベイヤ (FIS) と近・中間赤外線カメラ (IRC) による、反射星雲IC4954 付近の赤外線画像。観測波長はそれぞれ90μm(マイクロメートル)と9μm。差し渡し十数光年のこの領域は太陽系から約6 千光年の距離にあり、数百万年前から星の形成が続いている。赤外線画像では、ガスや塵の雲に囲まれて可視光では見えない生まれたばかりの星や、星の原料であるガス雲の分布が明るく浮き出て見える。

2つの図では、それぞれ「あかり」が観測した画像が左側に、IRAS 衛星による画像が右側に示されている。「あかり」は、これまでの赤外線画像よりはるかに高い解像度での観測に成功し、星が生まれている現場を正確にとらえている。

注) IRAS (Infrared Astronomical Satellite):1983 年に米・英・蘭により行われた世界初の赤外線天文ミッション。これまで宇宙の赤外線地図を提供してきた。


渦巻き銀河M81の近・中間赤外線画像
図.渦巻き銀河M81の近・中間赤外線画像

近・中間赤外線カメラ (IRC) でとらえたM81 の赤外線画像。観測した波長は、それぞれ3, 4, 7, 11, 15, 24μ m(マイクロメートル)である。M81 は、我々の銀河系からおよそ1200 万光年離れたところにある渦巻き銀河。波長3 及び4μm の画像では、塵に遮られることなくM81 内の星の分布がきれいに見えている。波長7 と11μm では、M81 内の星間ガスに含まれる有機物からの赤外線をとらえていると考えられる。波長 15 と 24μm の画像は、若い星により暖められた星間空間の塵の分布を示し、渦巻きの腕に沿って、星が作られる領域が分布していることがわかる。

渦巻き銀河M81の近・中間赤外線3色合成画像
図.渦巻き銀河M81の近・中間赤外線3色合成画像

外部リンク:報道発表文(JAXAプレスリリース)

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あかり衛星 > 観測成果