Science

  • 銀河進化を通しての重元素とダストによる宇宙の豊穣化の解明

    約138億年前にビックバンによって誕生した直後の宇宙は、水素とヘリウムを中心とした、軽い元素のみからなるシンプルな世界でした。ところが現在の宇宙は、重元素に富むガスや固体微粒子・塵(ダスト)といった、多種多様な物質で満ち溢れた豊かな世界です。このような、現在に至るまでの宇宙の豊穣化の謎を解明するためには、宇宙の歴史の中で、星や銀河がどのように誕生・進化してきたかを明らかにする必要があります。しかし星の進化の過程で作られる塵には、光を遮り、内部の活動を覆い隠してしまうという性質があります。そのため、これまでは宇宙で最も多く重元素が作られた時代の全貌を明らかにする事が出来ていませんでした。SMIは、塵に遮られにくい中間赤外線帯に存在する、原子・分子・イオンからのスペクトル線や、様々な塵からの赤外線バンド放射を用いて、遠方宇宙の塵に隠された銀河・活動的銀河核の探索と詳細スペクトル観測、宇宙初期の塵の探査、近傍宇宙のスペクトル撮像等を通して、この課題に挑みます。

  • 生命居住可能な世界に至る惑星系形成の解明

    我々生命が住む太陽系の地球、そして地球に似た他の惑星は、いつ、どのように誕生したのでしょうか。現在では惑星は、ガスと塵から成る原始惑星系円盤の中で円盤中心面に氷や塵が集まり、ガスが散逸する前に微惑星から惑星へと成長することでできたと考えられています。しかし、惑星の形成条件や形成時期に関しては、十分に理解できているとはいえません。特に地球のような生命が居住可能な惑星の形成には、円盤の内側で水がどのような状態(水蒸気や氷)で存在し、どのように惑星に供給されるかが重要となります。一方で、木星のような水素やヘリウムを大気として持つ巨大ガス惑星の形成には、ガスがいつどのように散逸していくのかを知るのが重要です。SMIはこれらの点を解明するため、水素分子ガス、塵、水の分布を捉えるのに適した中間赤外線で、太陽系や惑星誕生の現場である原始惑星系円盤などを詳しく観測します。これらの観測は、太陽系と地球の普遍性・特殊性を理解することにもつながると期待されます。

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