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「あかり」初期成果を公開

赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)は、4月13日の望遠鏡開口部の蓋開け後、観測装置全系への電源投入と機能・性能確認、望遠鏡の焦点調整、姿勢制御系の調整等を順調に行ってきました。このたび、望遠鏡と2つの赤外線観測装置について、軌道上で期待通りの性能が発揮されていることを確認し、本観測を開始しました。また併せて試験観測で取得した高解像度、高感度の赤外線画像を公開しました。


Fig.1

図 1: 反射星雲IC4954 の遠赤外線画像

Fig.2

図 2: 反射星雲IC4954 の中間赤外線画像

「あかり」の2つの観測装置、遠赤外線サーベイヤ (FIS) と近・中間赤外線カメラ (IRC) による、反射星雲IC4954 付近の赤外線画像。観測波長はそれぞれ90μm(マイクロメートル)と9μm。差し渡し十数光年のこの領域は太陽系から約6 千光年の距離にあり、数百万年前から星の形成が続いている。赤外線画像では、ガスや塵の雲に囲まれて可視光では見えない生まれたばかりの星や、星の原料であるガス雲の分布が明るく浮き出て見える。

2つの図では、それぞれ「あかり」が観測した画像が左側に、IRAS[1] 衛星による画像が右側に示されている。「あかり」は、これまでの赤外線画像よりはるかに高い解像度での観測に成功し、星が生まれている現場を正確にとらえている。


Fig.3

図 3: 渦巻き銀河M81の近・中間赤外線画像

近・中間赤外線カメラ (IRC) でとらえたM81 の赤外線画像。観測した波長は、それぞれ3, 4, 7, 11, 15, 24μ m(マイクロメートル)である。M81 は、我々の銀河系からおよそ1200 万光年離れたところにある渦巻き銀河。波長3 及び4μm の画像では、塵に遮られることなくM81 内の星の分布がきれいに見えている。波長7 と11μm では、M81 内の星間ガスに含まれる有機物からの赤外線をとらえていると考えられる。波長 15 と 24μm の画像は、若い星により暖められた星間空間の塵の分布を示し、渦巻きの腕に沿って、星が作られる領域が分布していることがわかる。

Fig.4

図 4: 渦巻き銀河M81の近・中間赤外線3色合成画像

JAXA Press Release
  1. IRAS (InfraRed Astronomical Satellite): 1983 年に米・英・蘭により行われた世界初の赤外線天文ミッション。これまで宇宙の赤外線地図を提供してきた。

Materials

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