赤外線天文衛星「あかり」について

AKARI (ASTRO-F)

「あかり」(打ち上げ前の名称は「ASTRO-F」あるいは 「IRIS (Infrared Imaging Surveyor)」) は、JAXA宇宙科学研究所を中心に計画が進められてきた赤外線天文衛星です。過去の日本の衛星搭載赤外線望遠鏡としては、SFU衛星(1995年打ち上げ)に搭載された IRTS がありました。「あかり」はこれに続く軌道上赤外線望遠鏡で、単独の本格的な赤外線天文衛星としては我が国初となりました。1983年打ち上げの IRAS衛星(米英蘭)は、赤外線による全天観測を世界で初めて行い、天文学の進歩に大きく貢献しました。ASTRO-F 計画は、IRAS 衛星と同様の全天サーベイ観測を、より広い波長域で、はるかに優れた空間分解能と検出能力で実行しようとする野心的な計画でした。「あかり」の望遠鏡は口径 68.5 cm の冷却型で、観測波長は波長 1.7 µm の近赤外線から波長 180 µm の遠赤外線までをカバーしていました。「あかり」は2006年2月22日に、宇宙研の主力ロケット M-V によって高度約 750 km の太陽同期軌道に打ち上げられて、全天サーベイをはじめ、多数の観測を実施しました。そして、2011年11月24日に停波し、すべての運用を終了しました。現在、「あかり」が取得した膨大なデータの解析が続けられています。


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