焦点面観測装置 (FPI)
「あかり」の焦点面には、遠赤外線を観測する FIS (Far-Infrared Surveyor) と、近・中間赤外線カメラである IRC (InfraRed Camera) の2種類の観測装置が搭載されました。これらは焦点面観測装置 FPI (Focal Plane Instruments) と呼ばれています。
FIS: Far-Infrared Surveyor (遠赤外線サーベイヤー)
FIS は遠赤外線で全天サーベイ掃天観測。常に望遠鏡の向きを変えながら広い範囲を観測します。を行うことを主な目的として搭載された観測装置です。検出器にはゲルマニウムに少量のガリウムをドープした半導体結晶(Ge:Ga)を使用しました。Ge:Ga素子は圧縮素子を1平方ミリメートル当たり40~60 kg重の力で加圧します。して用いることで、より長い波長の赤外線を検出することができます。FISでは圧縮したGe:Ga検出器と普通のGe:Ga検出器を2台搭載して広い波長範囲の遠赤外線を観測しました。さらにそれぞれの検出器はフィルターで観測波長を区切って使用するため、4つのバンド(波長帯)で観測を行いました。
これらは通常サーベイ観測に用いられましたが、指向観測望遠鏡を長時間同じ方向に向けて観測します。ポインティング観測。を行うことによって、より暗い天体を検出したり、フーリエ分光器と組み合わせることによって分光観測も実施しました。
検出器名 | SW | LW | ||
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バンド名 | N60 | WIDE-S | WIDE-L | N160 |
観測波長 [µm] | 50-80 | 60-110 | 110-180 | 140-180 |
中心波長 [µm] | 65 | 90 | 140 | 160 |
検出素子 | Ge:Ga | 圧縮型 Ge:Ga | ||
ピクセル数 | 20x2 | 20x3 | 15x3 | 15x2 |
ピクセルサイズ[秒角] | 26.8 | 44.2 | ||
ピクセルピッチ[秒角] | 29.5 | 49.1 | ||
読み出し回路 | Capacitive Trans-Impedance Amplifier (CTIA) | |||
サンプリング間隔[Hz] | 25.28 | 16.86 |
IRC:InfraRed Camera (近・中間赤外線カメラ)
IRC は3台の独立したカメラシステムから構成されていました。1.7-5.5µm の近赤外線領域をNIRカメラ、5.8-14.1µm の中間赤外線領域の短波長側をMIR-Sカメラ、12.4-26.5µm の中間赤外線領域の長波長側をMIR-Lカメラが担当します。
IRC の特徴のひとつは、それぞれに大規模アレイ(512x412素子, 256x256素子)を採用したことによって、10分平方角という広視野を一度に観測できることです。それぞれのカメラではフィルターホイールを回転させることによって観測対象の波長帯をより細かく選ぶことができます。またプリズムやグリズムGrism:プリズム(prism)と回折格子(grating)を組み合わせた分散光学素子。を備えており、分光観測を行うことも可能です。
IRC の観測は指向観測モードで実施されたほか、検出器の一部を使用して FIS と同様サーベイ観測も行われました。
カメラ | NIR | MIR-S | MIR-L |
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観測波長 [µm] | 1.7-5.5 | 5.8-14.1 | 12.4-26.5 |
検出器 | InSb | Si:As | |
ピクセル数 | 512x412 | 256x256 | |
使用ピクセル | 391x412 | 233x256 | 246x256 |
カメラ視野[分角] | 9.5x10.0 | 9.1x10.0 | 10.3x10.2 |
ピクセル視野[秒角] | 1.46x1.46 | 2.34x2.34 | 2.51x2.39 |