新しい観測手法の開発

新しい観測手法を開発することにより、他では見ることのできない 宇宙の新たな姿を解明することを目指しています。

宇宙用の新しい冷却系の開発

若い星の周りのディスク
図:(左)従来型冷却系から、(右)新冷却系に変更することにより、 搭載可能な望遠鏡のサイズを飛躍的に大型化することを目指しています。

高感度の赤外線観測を実現するためには、(1) 望遠鏡からの 熱赤外線放射を抑制するためと、(2)赤外線検出器を高感度可するために、 望遠鏡を含む全観測装置を極低温(<10K)まで冷却する必要があります。しかしながら、 従来の冷却系では、冷却に液体ヘリウムを用いていたため、 大型の望遠鏡の搭載が困難であると同時に、寿命が短く限られている という欠点がありました。

そこでわたくしたちは、機械式冷凍機と放射冷却を組み合わせることにより、 液体ヘリウムを用いることなく極低温を実現する新しい冷却系の 実現に向けて技術開発に取り組んでいます。これにより、従来よりも はるかに大型の望遠鏡が衛星に搭載できるようになると同時に、 長寿命化もはかることができるという大きなメリットが 実現できると期待しています。

スノーライン検出を目指す高分散分光技術の開発

若い星の周りのディスク
図:イマージョン・グレーティングの概念図

地球に代表される「岩石型惑星」と、木星に代表 される「ガス型惑星」という2種類の惑星の違いを生んだ「スノーライン」を、 原始惑星系円盤で検出することを目指して、 専用の分光器の開発を進めています。

「スノーライン」の検出を実現するためには、波長分解能 R = λ/Δλ = 30,000 もの高分散分光器が必要です。 しかしながら、従来型の分光器では、このような高分散分光を 実現しようとすると、きわめて大きな装置になってしまうことが 問題になっていました。

そこで我々は、グレーティングを屈折率の高い物質で満たす 「イマージョン・グレーティング」という手法をとることにしました。 これにより、従来型の分光器の数十分の一という小型化を実現 することを目指しています。

宇宙背景放射観測を目指す超小型ミッションの実現

わたくしたちが開発したユニークな観測技術を用いた実際の観測を、タイムリーに 実現すべく、超小型衛星の実現を検討を開始しました。まず、可視光線の宇宙背景放射観測により、宇宙の星形成史の解明を目指します。

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