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SPICA が明らかにする新しい宇宙史

私たちの宇宙はどの様に誕生し、進化してきたのか。地球、そして我々生物はどこから、どのように生まれたてきたのか。天文学の究極の目的はこの答えを明らかにする事です。

次世代赤外線天文衛星SPICA (Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics)は、これらの答えに迫る口径2.5 m の大型冷却式宇宙望遠鏡です。SPICA は銀河の進化、そして惑星系の形成という2つの観点からこれらの答えに迫ります。


図1: SPICAの概観の想像図


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銀河の進化

宇宙は約138億年前にビックバンによって誕生しました。生まれた直後の宇宙は、水素やヘリウム、といった極めて軽い2種類の元素のみからなる世界でした。現在の私たちの宇宙はどうなっているでしょうか? 私たちの現在の宇宙は、数多くの銀河、恒星、惑星が存在し、様々なガスや固体微粒子・塵(ダスト)で覆われており、そして地球では、有機物質で形作られた数多くの生命が繁栄する、多種多様な物質で満ち溢れた非常に豊かな世界になっています。

ここの豊かな宇宙は、恒星や銀河の生成・進化を通じ、水素やヘリウムよりも重い元素、有機物質、そして固体微粒子・塵が生成されてきた事により生まれました。この宇宙の描像はここ20〜30年で確立され、現在広く受け入れられています。これは主にすばる望遠鏡や、ハッブル宇宙望遠鏡等の、私たちが目で見る事ができる光・可視光で研究されてきた偉大な研究結果です。

しかし近年、可視光だけでは見る事の出来ない、閉ざされた宇宙の歴史がある事が分かってきました。 それは塵(ダスト)に深く埋もれた宇宙です。

私たちの地球や月を形作っている岩石や金属、私たち人間を含む、生物を構成している有機物質は、銀河の中にある恒星で作られた重元素が起源です。我々が住む天の川銀河、そして太陽系や地球、生命がどのように誕生したのかを知るためには、宇宙の重元素、そしてそこから作られる固体微粒子の塵や有機物質が、いつ、どこで、どのように作られ、進化をしてきたか、を調べる事がとても重要です。しかしながら可視光では、重元素から作られた塵自身が可視光を遮ってしまうため、宇宙で最も重元素が作られた時代の全貌を明らかにする事が出来ていませんでした。

SPICA は塵に遮られにくい、また塵自身が輝いている、赤外線で、深宇宙の銀河、塵を深く観測する事によって、我々の銀河、太陽系の成り立ちを明らかにします。


図2: 宇宙の誕生から現在までの概観を表す宇宙図。SPICAでは、深宇宙から現在に至るまでの宇宙の進化を赤外線観測で明らかにする。


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惑星系の形成

私たちの太陽系・地球、そしてその他の惑星はいつ、どのように誕生したのでしょうか。

1995年に発見された太陽系外惑星はそれまでの天文学に大きな衝撃を与えました。なぜなら、それまでは太陽系のような惑星系の存在が疑われていたからです。その発見以降、多くの観測、そして理論研究が行われ、太陽系・地球が我々の宇宙において、特別な存在なのか、それとも地球に似た惑星がある事は当たり前なのか、といった研究が行われてきました。

今では恒星の平均惑星保有数は1つ、あるいはそれ以上もあることがわかっており、その中でもサイズと表面の温度が地球に近く、生命が誕生する事ができる環境を持つもの(ハビタブルプラネット)まで発見されています。

しかしながら、太陽系外惑星が多く発見されてきている一方、これらの惑星系がどのような条件、どのようなメカニズムで形成されてきたのかという事については、理解が進んでいません。

SPICAはこれを解明するため、太陽系、そして惑星が誕生する起源として考えられている原始惑星系円盤の観測を行います。そして、様々な年齢の多くの惑星系円盤を観測し、年齢順に並べ比較する事で、どの様に太陽系の様な惑星系へと進化し、惑星を形成するに至ったのかを明らかにします。


図3: 原始惑星系円盤の想像図。円盤中の岩石が衝突・合体を繰り返す事で惑星が形成されると、現在は考えられている。


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